朝日新聞

感染していても、発熱やせきなどの症状がない状態は「不顕性感染」と呼ばれる。大阪健康安全基盤研究所の奥野良信理事長(ウイルス学)によると、不顕性感染は、おたふく風邪や風疹、インフルエンザなどでもみられ、自覚症状がないままウイルスを体外に出して、ほかの人に感染させることもありうるという。 中国では、症状がない人からもウイルスが検出され、その人からの感染も報告されている。一方、国内では現在、感染を疑う基準は▽37・5度以上の発熱とせきなどの症状▽武漢市を訪問したか、武漢市を訪問し、発熱と呼吸器の症状がある人と接触した――場合に限っており、症状がない人は対象外だ。 厚労省の担当者は30日、会見で「症状がない人にもウイルスが含まれていることは想定していなかった」と説明。地域医療機能推進機構の尾身茂理事長は、中国で新型肺炎の感染者が急増していることから「日本でも症状のない人からの感染は否定できない」と指摘した。 こうした事態を受け、厚労省は調査対象を見直す。接触相手が「症状の有無にかかわらず、武漢市に滞在していた場合」なども含めることも検討している。